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「【令和5年分年末調整解説②】扶養控除等申告書で受ける所得控除~扶養控除編~」では、扶養控除について解説しました。
従業員から年末調整の資料を回収したら、各従業員の控除額を確認しなければなりません。
下記の年末調整の資料は、従業員個々の状況に応じた所得税を計算するための重要な書類になります。
申告書 | 控除 |
令和5年分 扶養控除等申告書 | 扶養控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除 |
令和5年分 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書 | 基礎控除、配偶者控除、配偶者特別控除、所得金額調整控除 |
令和5年分 保険料控除申告書 | 生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除(申告分)、小規模企業共済等掛金控除(申告分) |
令和5年分 住宅借入金等特別控除申告書 | (特定増改築等)住宅借入金等特別控除 |
今回は、扶養控除等申告書を提出することで受けることができる控除のうち、「扶養控除」以外について説明します。
上記の表のうち、黄色いマーカー部分が、今回説明するところです。
- 控除とは何なのか?
- 障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除の概要
- 障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除の金額
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そもそも控除って何なのか?(他の記事でも同様の解説をしています。)
他の記事でも同様の解説をしていますので、見たことがある方は読み飛ばしてください。
扶養控除について説明する前に「そもそも控除って何なのか?」ということについて説明します。
ある従業員の収入が給料のみとすると、給与所得にかかる所得税の計算は、以下のようになります。
所得税=給与所得×所得税率
この給与所得というのは、給与収入とイコールになりません。
給与所得とは、下記の通り、給与収入から「給与所得控除」と「所得控除」を差し引いて計算します。
給与所得=給与収入-給与所得控除-所得控除
- 給与所得控除とは……
-
給与所得控除とは「サラリーマンの必要経費として、概算で差し引くことができる控除」で、下記の通り、給与収入の金額に応じて、差し引くことができる金額が決まっています。
例えば、年収500万の従業員の給与所得控除は、以下の通り、144万になります。
5,000,000×20%+440,000=1,440,000
- 所得控除とは……
-
所得控除とは、納税者の個々の事情に合わせて、所得を減らすことができる制度で、年末調整で書類を提出することによって受けることができるものがほとんどです
年末調整で言っている控除とは、基本的に、この所得控除のことを言っています。
今回、説明する「障害者控除」「寡婦控除」「ひとり親控除」「勤労学生控除」は、この所得控除の一つになります。
扶養控除等申告書で受けることができる所得控除
扶養控除等申告書で受けることができる所得控除は、以下の通りになります。
- 扶養控除
- 障害者控除
- 寡婦控除
- ひとり親控除
- 勤労学生控除
これらの所得控除は、従業員各自が、扶養控除等申告書に記載することによる自己申告になります。
しかし、正しい控除を行うため、年末調整事務を行う方は、各控除の対象になるか確認する必要があります。
そのためにも、各控除について知っておく必要があります。
今回は、上記の控除のうち、扶養控除以外の「障害者控除」「寡婦控除」「ひとり親控除」「勤労学生控除」について詳しく説明します。
障害者控除
まずは、障害者控除の説明をします。
障害者控除とは?
納税者本人や、配偶者(生計を一にする)、扶養親族が障害者の場合、障害者控除を受けることができます。
扶養控除の適用がない16歳未満の人についても、適用になります。
障害者控除の金額
障害者控除の金額は、以下の通りです。
区分 | 控除額 |
障害者 | 27万円 |
特別障害者 | 40万円 |
同居特別障害者 | 75万円 |
同居特別障害者とは、以下の全てにあてはまる人です。
- 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族
- 「納税者自身」「配偶者」「納税者と生計を一にする親族」のいずれかと同居を常況としている人
障害者控除の対象になるのはどんな人?
障害者控除の対象になるのは、以下のいずれかの人になります。
- 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人 ⇒特別障害者
- 児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医の判定により、知的障害者と判定された人 ⇒重度の知的障害者と判定された人は、特別障害者
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人 ⇒障害等級が1級と記載されている人は、特別障害者
- 身体障害者福祉法の規定により交付を受けた身体障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載されている人 ⇒障害の程度が1級または2級と記載されている人は、特別障害者
- 精神または身体に障害のある年齢が満65歳以上の人で、その障害の程度が①、②または④に掲げる人に準ずるものとして市町村長等や福祉事務所長の認定を受けている人 ⇒特別障害者に準ずるものとして市町村長、特別区区長や福祉事務所長の認定を受けている人は特別障害者
- 戦傷病者特別援護法の規定により戦傷病者手帳の交付を受けている人 ⇒障害の程度が恩給法に定める特別項症から第3項症までの人は、特別障害者
- 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人
⇒特別障害者 - その年の12月31日の現況で引き続き6か月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする(介護を受けなければ自ら排便等をすることができない程度の状態にあると認められる)人
⇒特別障害者
寡婦控除
次は、寡婦控除の説明をします。
寡婦控除とは?
そもそも寡婦とは、何でしょうか?
寡婦とは、夫と死別又は離別し、再婚していない女性、夫のない独身の女性を意味する
引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%A1%E5%A9%A6
納税者自身が寡婦の場合は、寡婦控除を受けることができます。
寡婦控除の金額
寡婦控除の金額は27万円になります。
寡婦控除の対象となる人
寡婦控除の対象となる人は、その年の12月31日の現況で、「ひとり親」(下記で説明します。)に該当しない、下記のいずれに当てはまる人になります。
納税者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいる場合は対象となりません。
(1)夫と離婚した後婚姻をしておらず、扶養親族がいる人で、合計所得金額が500万円以下の人
(2)「夫と死別した後婚姻をしていない人」または「夫の生死が明らかでない一定の人」で、合計所得金額が500万円以下の人。この場合は、扶養親族の要件はありません。
(注)「夫」とは、民法上の婚姻関係にある人をいいます。
(1)(2)ともに、「合計所得金額500万円以下」という要件が出てきますが、「年収500万円以下」ではないことに気をつけましょう。
上記の「そもそも控除って何なのか?」でも説明しましたが、給与所得は「給与収入-給与所得控除」で計算します。
給与収入のみの場合は、給与所得=合計所得金額になります。
ひとり親控除
令和2年分年末調整から適用されたひとり親控除について説明します。
ひとり親控除とは?
ひとり親控除は、令和2年分の年末調整から適用される制度になります。
納税者がひとり親であるときにひとり親控除を受けることができます。
ひとり親控除の金額
ひとり親控除の金額は、35万円になります。
ひとり親控除の対象
ひとり親とは、原則としてその年の12月31日の現況で、「婚姻をしていないこと」または「配偶者の生死の明らかでない一定の人」のうち、次の3つの要件のすべてに当てはまる人です。
(1)その人と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる一定の人がいないこと。
(2)生計を一にする子がいること。
この場合の子は、その年分の総所得金額等が48万円以下で、他の人の同一生計配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
(3)合計所得金額が500万円以下であること。
勤労学生控除
勤労学生控除とは?
学生であっても、一定の所得がある場合は、税金を納なければなりません。
この勤労学生控除は、一定の要件を満たす学生に対して、税負担を軽減する所得控除になります。
勤労学生控除の金額
勤労学生控除の金額は、27万円になります。
勤労学生控除の対象
勤労学生とは、その年の12月31日の現況で、次の3つの要件のすべてに当てはまる人です。
(1)給与所得などの勤労による所得があること
(2)合計所得金額が75万円以下で、しかも(1)の勤労に基づく所得以外の所得が10万円以下であること
例えば、給与所得だけの人の場合は、給与の収入金額が130万円以下であれば給与所得控除55万円を差し引くと所得金額が75万円以下となります。
(3)特定の学校の学生、生徒であること
特定の学校とは下記の通りになりますが、わからない場合は学校の窓口に尋ねてみましょう。
この場合の特定の学校とは、次のいずれかの学校です。
イ 学校教育法に規定する小学校、中学校、高等学校、大学、高等専門学校など
ロ 国、地方公共団体、私立学校法の第3条に規定する学校法人、同法第64条第4項に規定する法人、これらに準ずる一定の者(注1)により設置された専修学校または各種学校のうち一定の課程(注2)を履修させるもの
ハ 職業能力開発促進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で一定の課程(注2)を履修させるもの
以上のいずれかの学校に当てはまるかどうか分からないときは、通学している学校の窓口で確認してください。
(注1)一定の者とは、次の者をいいます。
①独立行政法人国立病院機構、独立行政法人労働者健康安全機構、日本赤十字社、商工会議所、健康保険組合、健康保険組合連合会、国民健康保険団体連合会、国家公務員共済組合連合会、社会福祉法人、宗教法人、一般社団法人および一般財団法人ならびに農業協同組合法第10条第1項第11号に掲げる事業を行う農業協同組合連合会および医療法人
②学校教育法第124条に規定する専修学校または同法第134条第1項に規定する各種学校のうち、教育水準を維持するための教員の数その他の文部科学大臣が定める基準を満たすものを設置する者(①に掲げる者を除きます。)
(注2)一定の課程とは、次の課程をいいます。
①専修学校の高等課程および専門課程
イ 職業に必要な技術の教授をすること。
ロ その修業期間が一年以上であること。
ハ その1年の授業時間数が800時間以上であること(夜間その他特別な時間において授業を行う場合には、その1年の授業時間数が450時間以上であり、かつ、その修業期間を通ずる授業時間数が800時間以上であること。)。
ニ その授業が年2回を超えない一定の時期に開始され、かつ、その終期が明確に定められていること。
②①に掲げる課程以外の課程
イ 職業に必要な技術の教授をすること。
ロ その修業期間(普通科、専攻科その他これらに類する区別された課程があり、それぞれの修業期間が1年以上であっていずれかの課程に他の課程が継続する場合には、これらの課程の修業期間を通算した期間)が2年以上であること。
ハ その1年の授業時間数(普通科、専攻科その他これらに類する区別された課程がある場合には、それぞれの課程の授業時間数)が680時間以上であること。
ニ その授業が年2回を超えない一定の時期に開始され、かつ、その終期が明確に定められていること。
【引用元】国税庁ホームページ:No.1175 勤労学生控除
まとめ:受けられる所得控除を把握して扶養控除等申告書にしっかり記入しよう
今回解説した「障害者控除」「寡婦控除」「ひとり親控除」「勤労学生控除」は、扶養控除と比べると、対象になる方は少なくなるため、ご自身で把握する必要があります。
扶養控除を受けることができる状況なのに、申告書に記載せず、受けることができないのはもったいないですので、要件などをよく理解して記載しましょう。
また、会社内で扶養控除等申告書を預かって、年末調整事務の手続きをする際に、これらの控除のことがよくわかっていないと、計算間違いが生じる恐れがあります。
そのような可能性がある会社は、ぜひ税理士にご相談されることをお勧めします。
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