こんにちわ!ひとり社長専門税理士の海老名佑介です!(プロフィールはこちら!)
2024年からは、メールとかで受け取った請求書は、紙で印刷して保存しちゃだめって本当なんですか?
「電子取引のデータ保存制度」は混乱する部分かと思いますので、今回はその辺について詳しく説明したいと思います!
電子帳簿保存法の改正によって、「メールなどで受け取った請求書などは、紙で保管しちゃだめ」ってよく言われてますよね。
2022年1月1日から電子帳簿保存法が改正されて、メールなどで受け取った請求書などは、電子データで保存しなければならなくなりました。
その後、電子帳簿保存法の改正はいったん2年間の猶予期間が設けられましたが、2024年からは本格的に開始されます。
「実際にどうやって運用していけばわからない!!」「この制度、ちゃんとやらなかったらどうなるの!?」と不安になるひとり社長も多いでしょう。
そこで今回は、電子帳簿保存法における「電子取引のデータ保存制度」についてまとめました。
電子帳簿保存法のうち、紙の書類をスキャンして保存する「スキャナ保存制度」については、下記の記事をお読みください。
- 電子取引のデータ保存制度の概要
- 電子取引のデータ保存のしかた
- 電子取引のデータをちゃんと保存してなかったらどうなるか
当事務所では、マネーフォワードクラウド、freeeを活用して電子帳簿保存法の改正にも対応しています。
今回解説する「電子取引のデータ保存」についても、お困りの方はぜひ、当事務所での税理士顧問契約をご検討いただければと思います!
「電子取引のデータ保存制度」は強制適用!
「電子取引のデータ保存制度」は、電子帳簿保存法の3つの制度のうちの1つの制度です。
なお、その他2つの制度については、下記の記事をご参考いただければと思います。
他の2つの電子帳簿保存法の制度と違うところは、「電子取引のデータ保存制度」だけは、強制適用ということです。
強制適用ってことは必ずやらなければいけないんですね。
そうなんです。なので、ここからさらに詳細を説明しますね。
そもそも、電子取引ってなんなの?
「電子取引」とは、取引情報の受け渡しを電子データにより行う取引をいいます。
電子取引には、以下のようなものが当てはまります。
- EDI取引(電子データ交換)
- インターネットなどによる取引
- 電子メールにより取引情報を受け渡しする取引(添付ファイルによる場合を含む)
- インターネット上にサイトを設けて、サイトを通じて取引情報を受け渡しする取引
- 取引情報とは……
-
取引に関して「受け取ったり、交付したりする」以下のようなものを言います。
- 注文書
- 契約書
- 送り状
- 領収書
- 見積書
- 請求書
電子取引に該当する「注文書・契約書・送り状・領収書・見積書・請求書」などに相当する電子データをやりとりした場合には、その電子データ(電子取引データ)を保存しなければなりません。
でもどうやって電子取引データを保存すれば良いんですかね?
では、次にどのように保存をすればよいか説明しますね!
電子取引のデータ保存は実際にどのように行えば良いか?
「電子取引のデータ保存制度」では、3つのポイントを抑えて保存することになります。
1.改ざん防止のための措置
改ざん防止のための措置では、以下のいずれかをする必要があります。
- 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備え付け
- タイムスタンプが付与された電子データの授受
- 電子データの授受後、速やかなタイムスタンプの付与
- 訂正削除の作業履歴が残るシステム、もしくは訂正削除ができないシステムの使用
訂正削除の防止に関する事務処理規程の備え付け
「訂正削除の防止に関する事務処理規程」を作成することで、改ざん防止のための措置を取ることができます。
「事務処理規程なんて、どうやって作成するの!?」て思われた方、安心してください。
「訂正削除の防止に関する事務処理規定」については、国税庁のホームページからひな型がダウンロードできます。
ひな形があるんですね!
タイムスタンプが付与された電子データの授受
タイムスタンプとは、ある時刻にそのデータが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明するものになります。
タイムスタンプを付与して相手方に電子データを受け渡しすることは、改ざんできないデータを受け渡ししたものとして認められます。
電子データの授受後、速やかなタイムスタンプの付与
電子データを受け取った後に、速やかにタイムスタンプを付与することでも改ざん防止の方法として認められます。
このタイムスタンプの付与は、「マネーフォワードクラウド」「freee」のいずれかのクラウド会計ソフトを利用することで簡単にできます。
例えば、マネーフォワードクラウドでのタイムスタンプの付与は、以下の方法でできます。
クリックすると、マネーフォワードクラウドのページに飛びますので、詳細はそちらでご確認ください!
訂正削除の作業履歴が残るシステム、もしくは訂正削除ができないシステムの使用
「訂正削除の作業履歴が残るシステム、もしくは訂正削除ができないシステムの使用」については、現状、この要件を満たすシステムは見つけられていません。
「訂正削除の防止に関する事務処理規程の備え付け」「タイムスタンプが付与された電子データの授受」「電子データの授受後、速やかなタイムスタンプの付与」のいずれか措置をとることがほとんどになるのではないかと考えます。
2.「日付・金額・取引先」で検索できるようにする
「日付・金額・取引先」は、「マネーフォワードクラウド」や「freee」で仕訳に証憑を添付すれば、検索もできるようになります。
「マネーフォワードクラウド」や「freee」などのシステムを導入しない場合でも、以下の方法で検索の要件を満たすことができます。
- エクセルやスプレッドシート等で索引簿を作成する方法
- 規則的なファイル名を付す方法
エクセルやスプレッドシート等で索引簿を作成する方法
エクセルやスプレッドシート等で索引簿を作成して、エクセルやスプレッドシート等の機能を使って検索する方法です。
索引簿のひな形は、国税庁のホームページからエクセルデータがダウンロードできます。
「日付・金額・取引先」での検索要件を満たすために、上の画像のような一覧表を作成します。
検索要件は、以下の通りになりますが、エクセルやスプレッドシートのフィルタ機能を使うことで検索できます。
- 日付、金額、取引先を検索できること
- 日付や金額は、範囲を指定して条件を設定できること
- 2以上の任意の項目(日付+金額、金額+取引先など)を組み合わせて条件を設定できること
また、エクセルやスプレッドシート等で一覧表を作成する場合は、連番を付ける必要もあります。
基本的には、上記の国税庁ホームページからダウンロードできる索引簿の様式に従って入力すれば大丈夫です。
なお、税務署から「電子取引のデータ」のダウンロードの求めに対応することが出来るようにしている場合は、上記の②と③の要件は不要になります。
さらに、2期前(2年前)の売上が5,000万円以下の会社(個人事業主)については、税務署から「電子取引のデータ」のダウンロードの求めに対応することが出来るようにしている場合、上記の①と②と③の要件全てが不要になります。
要件が緩和されることで、手間も軽減されるのでありがたいですね。
規則的なファイル名を付す方法
データのファイル名に規則性をもって「日付・金額・取引先」を入力し、特定のフォルダに集約しておくことで、フォルダの検索機能が活⽤できるようにする方法です。
イメージはこんな感じです。
この場合、保存先は「パソコンのフォルダ内」や「Dropbox」「Google Drive」などのクラウドストレージなどが考えられますが、ほとんどの場合で検索はできます。
エクセルに別途打ち込むよりも、直接ファイル名をつけて保存したほうが楽と感じられる方はこの方法を選択することになります。
検索の要件については、「エクセルやスプレッドシート等で索引簿を作成する方法」と同様です。
3.ディスプレイやプリンタなどを備えつける
ディスプレイやプリンタなどは、性能や設置台数は問われていません。
通常の業務で使用しているもので問題ないでしょう。
ただ、「速やかに出力できる」ことも求められていますので、「故障寸前の状態でなければ」という前提での話です。
また、ひとり社長の場合、業務で使用しているパソコンが1台しかなく、プリンタも持っていないという場合も想定されます。
その場合は、電子データのコピーを作成して、税務署の職員に提出するという対応に変えることもできます。
電子取引のデータを要件通りに保存していなかったらどうなる?
2024年1月1日以降は、災害などの事情がない限り、電子データを、要件に従って保存していないと「青色申告の承認取り消し」になる可能性があります。
ただ、国税庁のホームページにおいて、要件に従って保存されていなかったからといって「ただちに」青色申告の承認が取り消されるものではないと公表されています。
しかしながら、世の中のデジタル化が進む中で、「電子取引のデータ保存」は今後当たり前に行われる世の中になっていくでしょうから、きちんと保存ができる体制づくりはしていくべきものと考えます。
まとめ
今回は、2024年から義務化される電子帳簿保存法の「電子取引のデータ保存制度」についてまとめました。
電子取引のデータ保存制度は見てるだけで、面倒そうと感じてしまいますよね…
データ保存の要件が満たされていなくても、「ただちに青色申告の承認が取り消されるわけではない」というところは安心できるところですが、全く無視できるものでもありません。
一番、効率よく「電子取引のデータ保存」が運用できるのは「クラウド会計の活用」だと思います。
インボイス制度の開始のことも考えると、マネーフォワードクラウド、freeeの導入は検討していかれたほうが良いでしょう。
クラウド会計ソフトのことは、別の記事でも書いていますので、ぜひ、あわせてお読みください。
当事務所でも、積極的に「マネーフォワードクラウド」「freee」を活用して、電子帳簿保存法に対応しています。
顧問契約をご検討いただける方は、ぜひ下記よりお問い合わせください!
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