こんにちわ!ひとり社長専門税理士の海老名佑介です!(プロフィールはこちら!)
最近、テレビとかネットで「電子帳簿保存法」という言葉をよく目にしますが、自分も何かしないといけないんですかね?
電子帳簿保存法については、たしかに実際何をどうすれば良いかわかりませんよね……
最近、テレビのCMやインターネットなどで「電子帳簿保存法」という言葉をよく目にしますよね。
しかも、電子帳簿保存法やらないと絶対だめ!みたいな感じで煽ってきます。
だからといって、電子帳簿保存法について勉強しようとしても良く分からない…という方多いと思います。
そこで今回は、電子帳簿保存法で抑えておきたい3つの制度についてまとめました。
- 電子帳簿保存法の概要
- 電子帳簿保存法で必ずやらなればならないこと
- 電子帳簿保存法がそこまで恐ろしいものではないこと
ぜひ、最後まで読み進めてください!
当事務所は、マネーフォワードクラウド、freeeを取り扱うひとり社長専門の税理士事務所です。
電子帳簿保存法については、クラウド会計を使うことでスムーズに導入できます。
拡大を考えないひとり社長で、電子帳簿保存法を取り入れたいという方はぜひ、当事務所にご相談ください!
電子帳簿保存法の概要
電子帳簿保存法は、大きく3つの制度で構成されています。
この文字だけを見ても、何のことだか全くわかりませんよね…後ほど各制度について詳細な説明をします。
制度全体のイメージはこんな感じです。
この3つの制度ですが、実は必ず全てやる必要はありません。
「国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存制度」「スキャナ保存制度」は任意適用といって、やりたければやるというものになります。
一方で、「電子取引の取引情報に係る電磁的記録」は強制適用といって、やらなければならないというものになります。
- 電子取引の取引情報に係る電磁的記録 ⇒ 強制適用
- 国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存制度 ⇒ 任意適用
- スキャナ保存制度 ⇒ 任意適用
以下では、3つの制度について、さらに詳しく説明します。
電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度
「電子取引の取引情報に係る電磁的記録」というのは、「メールなどの、インターネット上で受領した請求書や領収書など」のことです。
この制度は、「データで受け取ったものは、受け取ったデータのまま保存しなければならない」というものです。
あくまでデータで受け取ったものが対象で、紙で受け取ったものをデータ化しなければならないわけではありません。
この制度については、下記の記事でも詳しく解説していますので、あわせてお読みください。
電子取引のデータは、以下のように保存しなければなりません。
- 改ざん防止のための措置
- 「日付・金額・取引先」で検索できるようにする
- ディスプレイやプリンタなどを備えつける
改ざん防止のための措置
改ざん防止のための措置は、以下のいずれかをする必要があります。
- 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備え付け
- タイムスタンプが付与された電子データの授受
- 電子データの授受後、速やかなタイムスタンプの付与
- 訂正削除の作業履歴が残るシステム、もしくは訂正削除ができないシステムの使用
「マネーフォワードクラウド」や「freee」では、仕訳ごとに証憑をアップロードすることで、タイムスタンプが付与されるシステムが、すでに開発されています。
マネーフォワードクラウドや、freeeを導入しない場合は、「訂正削除の防止に関する事務処理規程」を作成するのが良いでしょう。
「訂正削除の防止に関する事務処理規定」については、国税庁のホームページから雛型がダウンロードできます。
「日付・金額・取引先」で検索できるようにする
「日付・金額・取引先」での検索も、マネーフォワードクラウドやfreeeで、仕訳ごとに証憑をアップロードすることで、要件を満たすことができます。
マネーフォワードクラウドやfreeeを導入しない場合は、以下の対応方法が考えられます。
- エクセルやスプレッドシート等で索引簿を作成する方法
- 規則的なファイル名を付す方法
エクセルやスプレッドシートなどで索引簿を作成する方法
エクセルやスプレッドシートなどで索引簿を作成して、これらの検索機能を使用して検索する方法があります。
索引簿は、国税庁のホームページからダウンロードできます。
イメージはこんな感じです。
規則的なファイル名を付す方法
データのファイル名に規則性をもって「日付・金額・取引先」を入力し、特定のフォルダに集約しておくことで、フォルダの検索機能が活⽤できるようにする方法です。
イメージはこんな感じです。
国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存制度
次に、「国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存制度」を説明します。
「国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存制度」は、「税金の計算に使用した帳簿や書類を、紙ではなくデータで保存しても良いですよ」という制度です。
「国税関係帳簿書類」は、「国税関係帳簿」と「国税関係書類」のことです。
- 国税関係帳簿とは……
-
「国税関係帳簿」とは、以下のことを言っています。
- 会計ソフトで作成した仕訳帳、総勘定元帳など
- 会計ソフトで作成した損益計算書、貸借対照表など
- その他会計ソフトで作成したもの(現金出納帳、売上帳、仕入帳など)
- 国税関係書類とは……
-
「国税関係書類」は、以下のことを言っています。
- 注文書
- 領収書
- 見積書
- 請求書
「国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存制度」について、ポイントをまとめます。
- 会計ソフトなどで作成した帳簿は、そのまま会計ソフト上のデータとして保存しても良い
- 会計ソフト上で作成した帳簿は、紙で保存しても問題ない
- 手書きで作成した帳簿については、紙のまま保存しなければならない
- 自らが相手方に対してパソコンなどで作成した領収書や請求書などは、データとして保存して良い
ちなみに、「紙で発行した国税関係書類」や、「相手方から発行された領収書や請求書などで、紙で受け取ったもの」については、下記の「スキャナ保存制度」のルールに基づいて保存することになります。
この制度はやるかやらないかは自由ということですね。
「会計ソフトで作成した帳簿」や「パソコンで作成した書類」のデータ保存が認められる要件
帳簿や書類のデータ保存が認められるには、以下を満たす必要があります。
- システムの説明書やディスプレイ等を備え付けていること
- 税務職員からのデータの「ダウンロードの求め」に応じることができること
システムの説明書やディスプレイ等は、常識的に考えても、備え付けていないということは考えにくいです。
税務職員からのデータの「ダウンロードの求め」に応じることについても、よほどの理由がなければ、応じないということはないと思います。
そこまでハードルの高い制度ではないことがわかると思います!
スキャナ保存制度
スキャナ保存制度は、紙の領収書や請求書などをスマホやスキャナで読み取ってデータで保存できる制度になります。
以下の書類が、スキャナ保存制度の対象になります。
- 取引先から紙で受け取った領収書・請求書など
- 自社が手書きで発行した紙の領収書・請求書など
スキャナ保存制度を適用するには、細かなルールがありますが、スキャナ保存制度に対応した会計ソフトを使用することで要件を満たすことができます。
どの会計ソフトが、スキャナ保存制度に対応しているかは、JIIMA認証を取得した「電帳法スキャナ保存ソフト認証リスト」というところで調べられます。
- JIIMA認証とは……
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JIIMAでは、市販されているソフトウェアやソフトウェアサービスが電子帳簿保存法(電帳法)の要件を満たしているかをチェックし、法的要件を満たしていると判断したものを認証しています。JIIMA認証を取得したソフトウェア、ソフトウェアサービスを適正に使用することで、電帳法を深く把握していなくても法令に準拠して税務処理業務を行うことができます。
なお、認証を受けた製品は、パッケージや紹介ページに認証ロゴを使用することができるので、簡単に見分けることができます。
【引用元】JIIMA公式サイト「https://www.jiima.or.jp/certification/」 - 電帳法スキャナ保存ソフト認証とは……
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スキャナ保存を行う市販ソフトウェアが電子帳簿保存法の要件を満たしているかをチェックし、法的要件を満足していると判断したものを認証するものです。
認証ソフトは、税務署へのスキャナ保存の承認申請の際に面倒な記載を省くことができるので、手続きを簡素化できます。
【引用元】JIIMA公式サイト「https://www.jiima.or.jp/certification/」
「マネーフォワードクラウド」「freee」もJIIMA認証を取得して、スキャナ保存制度に対応している会計ソフトです。
これもやるかやらないかは自由ですが、紙の資料を残しておく必要がなくなるのは、魅力的ですよね!
スキャナ保存制度については、下記の記事でも、詳しく解説していますので、あわせてお読みください。
まとめ
今回は、2024年から完全義務化される電子帳簿保存法でひとり社長が知るべき3つの制度についてまとめました。
3つの制度のうち、必ずやらなければならないのは、「電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度」のみです。
この制度を円滑に運用するために、欠かせないのが「マネーフォワードクラウド」「freee」です。
クラウド会計ソフトを今、導入されていない方も、今後導入されたほうが、ひとり社長の経理が円滑に進むでしょう。
とはいえ、実際にどのように電子帳簿保存法を運用してよいかわからないという方もいらっしゃると思います。
そんな方はぜひ、ひとり社長専門の当税理士事務所にご相談いただければと思います。
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