こんにちわ!あんしんオンライン税理士の海老名佑介です!(プロフィールはこちら!)
最近法人成りしたのですが、役員報酬の決め方を教えてもらえますか?
かしこまりました!
- 最近、法人成りしたが、役員報酬はどのように決めれば良いの?
- 役員報酬をいくらに設定すれば節税になるの?
こういった方、結構いらっしゃると思います。
役員報酬は、今期の利益を予測したうえで、会社と社長個人の税負担のバランスを考慮して設定するのがベストです。
今回は、法人成りしたときの役員報酬の決め方についてまとめました。
- 法人成りして役員報酬を設定すると節税になる理由
- 役員報酬の設定の仕方のルール
- どのように役員報酬を決めれば良いか?
当事務所は、スモールビジネスの会社向けでオンライン対応ができる税理士事務所です。
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あんしんオンライン顧問税理士の詳細や料金表などは、こちらの記事もお読みください。
法人成りして、役員報酬を設定すると節税になる理由
法人成りして、役員報酬を設定すると節税になる理由は、以下の2つです。
- 法人税率と所得税率の違いを利用することができるから
- 給与所得控除を受けることができるから
法人税率と所得税率の違いを利用することができるから
少しややこしいところなので、順を追って説明します!
役員報酬は会社の経費になるため、法人税が少なくなる
社長に支給した役員報酬は、会社の経費になります。
法人税は、利益に対してかかる税金です。
「利益=売上−経費」で計算しますので、役員報酬を支給することで利益は少なくなります。
よって、法人税は少なくなります。
法人税率は利益の大きさに関わらず一定になります。
法人税の計算の仕方や税率については、下記の記事も併せて参考にしてください。
役員報酬を受け取ると、社長個人の所得税・住民税がかかる
社長が役員報酬を受け取ると、社長個人に所得税・住民税がかかります。
所得税は、役員報酬(課税所得)が増えれば増えるほど税率が上がる仕組みになります。
この仕組みを「超過累進課税」と言います。
所得税の税率は、以下のとおりです。
No.2260 所得税の税率」
上記の画像を見ると「課税される所得金額」とありますが、これはいわゆる給料の額面のことではありません。
個人としての収入が役員報酬のみの場合の「課税される所得金額」は、給料の収入金額から、諸々の控除を行ったうえで算出する金額になります。
算出された「課税される所得金額」に税率を掛けて、所得税を計算します。
住民税は、「課税される所得金額」に関わらず、一律10%になります。
事業で得られた所得を会社と個人で分散する
個人事業主の場合、事業で得られた所得に対して、所得税率を掛けて、納税する所得税を計算します。
ここに、事業で得られた所得が2,000万円の個人事業主Aさんがいたとします。
個人事業主Aさんです。
個人事業主Aさんの所得税
個人事業主Aさんの所得税を、上記の所得税率表に当てはめて計算します。
(2,000万円×40%)-2,796,000=5,204,000円が個人事業主Aさんの所得税になります。
これに併せて住民税もかかりますが、ここでは考慮しないこととします。
個人事業主Aさんが法人成りした場合の法人税と所得税
個人事業主Aさんが、会社を設立して役員報酬を1,000万に設定したとします。
まずは、会社で納税する法人税を計算します。
法人税率は、ここでは簡便的に30%と考えます。
会社の利益は、個人事業主時代の所得2,000万から役員報酬1,000万を差し引いた金額になるため、1,000万円です。
よって納付する法人税は1,000万×30%=300万になります。
次に、社長の役員報酬にかかる所得税を計算します。
ここではざっくりと、社長の役員報酬1,000万円に対する課税所得を800万として、上記の所得税率表に当てはめて計算します。
(800万円×23%)-636,000=1,204,000円が所得税になります。
よって、法人成りして役員報酬を支給した場合の、法人税と所得税は、併せて4,204,000円となり、個人事業主時代の納税額500万から100万円も少なくなりました。
なぜ、このようになるかと言うと、個人事業主時代は事業で得られた所得に対して丸々40%の税率が掛けられていました。
これを法人成りすることで、事業で得られた所得を法人税率の30%と所得税率の23%に分散したからです。
このように、法人税率と所得税率の差を利用することが、法人成りして節税できる理由の一つです。
税率の違いを利用することで、こんなに違いが出るんですね。
給与所得控除を受けることができるから
以下の説明は、社長個人の収入が、役員報酬のみの場合とします。
役員報酬に係る所得税は、以下の通り計算します。
所得税=課税所得×所得税率
課税所得は、以下の通り計算します。
課税所得=給与所得-所得控除
- 所得控除とは……
-
所得税を計算するときに、個人の事情を加味するために、所得から控除できるものです。
配偶者控除、扶養控除、社会保険料控除、生命保険料控除、医療費控除などのことです。
給与所得は、以下の通り計算します。
給与所得=収入金額−給与所得控除
収入金額は、額面の金額と思っていただいて大丈夫です。
給与所得控除とは、サラリーマンに必要経費が認められないことを考慮して控除される「サラリーマンの概算の必要経費」のようなものです。
給与所得控除は、給与の収入金額に応じて、以下のように決められています。
No.1410 給与所得控除」
給与所得控除が、個人事業主から法人成りして、節税できる理由の一つになります。
会社のお金と社長個人のお金を一体のものとして考えます。
- 役員報酬は、会社の経費として
- 給与所得控除は、社長個人の経費として
会社と個人で、二重に経費計上できているようなものと考えることができます。
役員報酬の決め方にはルールがある
役員報酬の決め方には、法人税法で、以下のようなルールが決められています。
- 定期同額にしなければいけない
- 不相当に高額な役員報酬は認められない
- 社長に賞与を出すことは原則認められない
- 役員報酬変更のタイミング
以下で、さらに詳しく説明します!
定期同額にしなければならない
役員報酬は、原則として、事業年度を通じて、毎月同じ額を支給しなければなりません。
これを「定期同額給与」と言います。
なぜ、このようなルールなのでしょうか?
それは、決算間際になって、利益がたくさん出ているからといって、役員報酬を増やして、利益調整してしまうことを防ぐためです。
不相当に高額な役員報酬は認められない
「不相当に高額」な役員報酬は、経費として認められません。
それでは、役員報酬がいくらだと不相当に高額なのでしょうか?
実は、役員報酬が〇〇円だと、不相当に高額という具体的な金額は決められていません。
「役員の職務の内容」や「事業規模が類似する同業他社の支給状況」など様々なことを総合的に考慮して判断されます。
詳しく説明しだすと、専門的になりすぎるため、割愛します。
社長に賞与を出すことは原則認められない
先ほども説明した通り、役員報酬は定期同額でなければなりません。
そのため、社長に賞与を出すことも認められません。
ただ、税務署に事前に届出書を提出することで役員賞与の支給が認められます。
それが「事前確定届出給与」です。
事前確定届出給与は「支給する要件」「提出期限」が決められています。
この記事では、そんなものがあるんだくらいにとどめてただければと思います。
役員報酬変更のタイミング
役員報酬は原則、事業年度開始の日から3ヶ月以内に変更しなければなりません。
例えば、12月決算の場合は、3月までに変更する必要があります。
株式会社の場合、役員報酬の変更は、一般的に、定時株主総会にて決議されます。
以下の場合は、例外として、役員報酬を期の途中で減額することが認められます。
- 役員の「職制上の地位の変更」や、その役員の「職務内容の重大な変更等」のやむを得ない事情がある場合
- 経営状況が著しく悪化した場合
事業年度開始から3ヶ月以内の変更以外で、役員報酬を増額した場合は、増額した分だけ経費から外す必要があります。
法人税の経費として否認されても、支給された役員報酬全額に対しては所得税がかかってしまいます。
すなわち、それだけ税金が増えるということになります。
役員報酬の決め方4ポイント
今期いくらの利益が出そうかを予測する
今期の役員報酬を決める際は、まず、今期いくらの利益が出そうかを予測します。
予測される利益の範囲内で、役員報酬を決めた方が良いです。
ここで利益予測を誤ってしまうと、最終的な利益が赤字になってしまいます。
特に、銀行から融資を受ける予定の場合は、利益が赤字だと、審査でマイナスになってしまいます。
節税のことばかり考えていてはいけませんね!
会社と個人の税負担のバランスを考える
会社の利益を、全て役員報酬で打ち消せば、法人税が0になってお得なのでは?と考えがちです。
しかしながら、必ずしもそうではありません。
上記でも述べたとおり、社長が役員報酬を受け取ると社長個人に所得税・住民税がかかります。
会社の利益を全て役員報酬で打ち消そうとすると、所得税・住民税が、それ以上に高くなる可能性があります。
そのため、会社と個人の税負担のバランスを考える必要があります。
当事務所でシミュレーションができますので、ご相談ください。
社会保険も含めて、シミュレーションする
社長に役員報酬を支給すると、社会保険への加入義務が生じます。
ここで言う社会保険とは、「健康保険・厚生年金」のことです。
社会保険料については、協会けんぽホームページにある「都道府県毎の保険料額表」をご参考ください。
社長の社会保険料は、会社と社長で折半になります。
役員報酬を高くしすぎると、社会保険料の負担が大きくなってしまいますので、併せて確認した方が良いです。
個人の生活費として満足できる金額に設定する
役員報酬を設定して、税金や社会保険の負担が抑えられたとしても、社長の手元に入ってくる金額が、個人事業のときよりも少なく、生活費として満足できなければ本末転倒です。
「この金額の役員報酬で、満足感を得られるのか?」という観点もあったほうが良いです。
役員報酬というのは、「職務執行の対価」でもあります。
業績が上がったら、役員報酬もしっかり上げて、自分の頑張りを報いたいものです。
事業を継続していくうえで、モチベーションも大事ですよね!
まとめ:役員報酬はシミュレーションをしっかりしたうえで決めたほうが良い
今回は、法人成りしてからの役員報酬の決め方について解説しました。
役員報酬は、会社と個人の税負担のバランスを考慮して、全体的に負担が一番少なくなるラインに設定するのがベストです。
ただ、法人税、所得税、住民税、社会保険……バランスを見ながら負担額を計算して、役員報酬を決めるのは、一筋縄で行かないところがあります。
そこで、当事務所では、役員報酬のシミュレーションソフトを活用しています。
設定したい役員報酬など、諸々の情報をソフトに入力することで、下記の画像のようなシミュレーションをすることができます。
このシミュレーションソフトを活用することで、会社と個人のキャッシュフローを、最大化できる役員報酬の金額を検討することができます。
そのうえで、個人の手元に入ってくる金額として、満足できる役員報酬か検討されることをお勧めします。
役員報酬の決め方についてお悩みの方は、ぜひ当事務所での顧問契約をご検討いただければと思います。
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